CoCa's Wide Shut Update:03/12/31

▼ Reports #18


サロン東京的 VOL.5
Text : CoCa
(構成:Kiev)

 本来ならベルリン/パリのレポートをお送りするのが順番ですが、旅の記憶を呼び起こしている間に「サロン東京的 VOL.5」が決行されてしまいました。
 それならば、ということで。まずはそちらからレポートさせて頂きたいと思います。すみませーん!
 今回のメンバーは、JM氏+エミ・エレオノーラ嬢+横山英規さん+窪田晴男さんです。

 この「サロン東京的」というライブは、窪田さん幹事によって開催されている出張ライブパーティー。かつては西麻布オジャスで、今は西麻布にあるHAPPY GO LUCKY BAR“L”で定期開催されています。
 噂は前から聞いていたのですが、たまたま11月20日の夜、窪田さんがJM氏宅にツアーの事後処理にいらっしゃり(事後処理の内容についてはCoCa's Wide Shutにて後日少し公開予定です)、なんとなく飲み始めた赤ワインをかる〜く3本空けた時に、これまたかる〜い切り口で「東京的」の話が出たのでした。
 窪田さん「僕、今出張パーティーやってるんですけど出ません?」
 JM氏「へえ〜、どんな人が出てるの?」
 窪田さん「エミちゃんとか・・・」
 JM氏「おおそうなんだ、面白そうだね! 去年一緒に仕事したロバート・ウィルソンの“ヴォイチェック”っていうミュージカルが日本に来た時に観に行ったんだけど、この世界観はエミだな!って思ってメールしたら、最終日に観に行ってバッチリハマったみたいで、あの延長線にある世界を一緒に演りたいって話してたところなんだ」
 窪田さん「そうなんすか。ほんじゃ12月13日はどうです?」
 ・・・て感じでアッという間に話が決まり、二人ではちょっと寂しいという事で、急遽ベースの横山さんに参加して頂くことになりました(エミさんと横山さんはデミセミクエーバーという超個性的なバンドでご一緒に活動していらっしゃいます)。

 12月4日16時、初ミーティング。
 曲作りから皆で始めるには時間がないってことで、JM氏はサクッと新曲を書き、あと数曲を自作レパートリーよりエミさんに合わせて選曲。譜面起こし、DEMO用CDも焼いて用意。さすがは兄貴!
 とにかく時間がないので、横山さんにはウッドベース、エミさんにはアコーディオンをお持ち頂き、初見でリハーサル。

 同日JM氏宅リビングにて。
 JM氏「エミ、Keyはこれで大丈夫?」
 エミさん「ちょっと待って下さい。脱ぎますから!」(エミさんが唄う=ひと肌脱ぐという事らしい)
 そしてアコーディオンを取り出し、アドリブで作詞しながら歌い始める。日本人離れした低音+かすれ。アネゴな感じっす!
 JM氏「それじゃ、なんとなくCDに合わせて音取っておこうか」
という事で、ニ重扉の奥のJun's Roomへと3人は消えて行きました。

 12月10日、BAR“L”にて本気のリハーサル。JM氏もエミさんも即興タイプ、帰って来られなくなるのが心配なので、キープの鉄人として窪田さんにも加わって頂くことにしました。

 そしてあっという間に本番。
 窪田幹事からの注意事項伝達が終わると、いよいよ始まり!

 セッティングは、舞台向かって右からスタンド・アコーディオン、ローズ、その左奥がアップライトピアノ、ローズの後ろにベースとギターです。
 ボンテージ姿のエミさん(これはもうエミさんの制服)、ドレッドヘアーの横山さん、淡い黄色シャツに吊りズボンにベストという出で立ちのJM氏(これは新鮮!)、ツナギ姿の窪田さん。
 窪田さん「譜面がグチャグチャになってる!」
 JM氏「譜面がなくなっちゃった!」
とバタバタしているにも関わらず、エミさんの語りが始まります。

 (今日はお話仕立てなので、エミさんの語り中心でお届け致します!)
 エミさん「皆様こんばんは! 寒いですね。昨日なんか寒くて死にたくなりました。しかし!そんな中、脱いでみたいと思います」
と、ボンテージの上に着ていた、狼に着ぐるみのような黒いコートを脱ぐ。
 待ち切れずにギコギコと音を出す男性3人組。 エミさん「クリスマスもお正月もまだだというのに、今日は春をテーマにやりたいと・・・思います」
 ピアノのJM氏とスタンド・アコーディオンのエミさん、弓を使ったウッドベースの横山さん、助っ人窪田さんで、魔法のランプから“ポワワ〜ン!”と煙を出すような妖しいスケールを上ったり下りたり、いきなり物語の世界へタイムスリップ!
皆様こんばんは!
 エミさん「春の秘密ここだけの話・・・お教えしましょう! 春は太古の昔、もう二度と冬が来ないようにと願う祭りだった。(中略)誰もが輪になって、輪になってリング状になって踊り狂ったんだ。その輪はSPリング・・・と呼ばれ、毎年恒例の行事となった。そうして恒例となった祭りは何時しか季節の一つに・・・(中略)ただこの春を呼ぶには人々が心の底から春よ来い!春よ来い!と願わなければならないのだ。・・・これは口で言うほど簡単な事ではない。(中略)でも、でももし貴方が楽をして、楽しいことをしたいなら、楽をして春を呼びたいなら・・・今からご説明するこのクスリを使えばいい。貴方が楽をして春を呼ぶ為の例の媚薬はスプ、リング・・と呼ばれ、取り引きされています。この店にも置いていま〜す」

 1曲目(新曲)。「あなたのネコは一角獣で、家来はドラゴンだってね〜」と始まるデカダンなCマイナーのワルツ。
 戒厳令下の異国の広場を抜け、クネクネと横道を入ったところにある隠微なキャバレーに迷い込んだみたい(人身売買だってしてそう!)。エミさんはそこを牛耳ってるおっかない女性オーナー兼、歪んだ愛を歌い上げる歌手って感じ。JM氏のピアノが切なく、情熱的でドラマティック!
 「宇宙はあんたを置いて回っていくよ、宇宙は枯れない花だよ。宇宙はあんたを置いていくよ、あたしの知った事じゃないね!」

 1曲終わりまして、エミさんピアノに移動。
 「あの・・・私はこのBAR“L”のショーガールです。少なくとも今日はね」
と言いながら、ポロンポロン・・・ピアノニストを目指したこともあるエミさんのピアノはカッコイイヨー!、JM氏のローズもコードチェンジがある中で聴くと、EXOTICAの時とは違い唄ってますよ〜。まるで腰が立たなくなるクスリでも盛られたみたいに、クラクラしちゃいますデス。
 エミさん「実は私は他のことで生計を立てているのさ!それはね、ここのフロントのショウちゃんに『ビーナスのエクボをください』と言えば、春と書いてあるマッチをくれる・・・それを私に手渡してくれれば、それが合図なんです。あるものを・・・お金じゃなく売ります」

 2曲目(新曲)。「♪今夜も飾り窓の女達のようにさ!」と始まる。エミさんがピアノ、JM氏はローズ。
 「♪あたしは売ってない お金じゃ買えない春〜」
と1番を終えたところでJM氏のローズソロ。
 エミさん「三宅さんです」といきなりメンバー紹介。
 「お金払っても聴けないのよ。このソロは! 値段付けらんないのよ、このソロは!」
 ローズソロに替わって、エミさんのピアノソロ!
 「窪田晴男!」と促されて、窪田さんのソロ!
 「♪あたしは売ってない お金じゃ買えない人生〜!」
 エミさん「皆さん・・・ご自分自身がお金で買えないということを分かって頂けたでしょうか? 値段は付けられません。でも、わたしが言っていることは殆ど意味がありませんので、明日には忘れて下さい」

 3曲目。JM氏ローズ、エミさんアコーディオン。
 いきなり激しい異国の言葉口調で叫び出したエミさん。そこへJM氏のローズが、聴き覚えのあるフレーズを・・・「これはもしや・・・」すかさずエミさんがストップウォッチほどの小さな何かを口に近づけました。小さなちいさな拡声器です。感の鋭い方はもうお分かりでしょうか? これが新曲ではないとすると・・・。
 ヒント1:『永遠乃掌
 ヒント2:メガホン
 はーいご名答!「Lay-La-La-Roy」でした。すごいでしょ!懐かしいでしょ! これからこの唄はエミさんにたっぷり可愛がって頂けるそうです。皆様今後もお楽しみ! 小さな編成のこの唄もなかなか良いですよ。ジミーさんの時は『エデンの東』のジェームス・ディーンが、xx中毒になったような妖しさが素敵でしたが、エミさんのは、101ワンちゃんのクルエラ・・・といった感じでしょうか?
 そして間奏にはもちろんJM氏のラッパソロ! 前日にアレルギー症状が出て、目はショボショボ、鼻はジュルジュルだったJM氏。心配したけれど、きれーな音出してました。
 横山さんのソロが始まってるのに、気が付かずに「ありがとうっ!」と終わろうとしてしまったエミさん。あれーこんなとこで曲終わっちゃっていいの〜? 睨みを利かせる横山さん。すかさず「キース!キース!」と横山さんを紹介。
 エミさん「春は鏡の中のカメレオン。変化したものだけが映れる世界。変化しない物はあたしには用がなーい!」
と語ったと思ったらワン、ツーとカウント。「Lay-La-La-Roy」を再び歌い出す。彼女の行動は誰にも読めません!
 エミさんがピアノに戻り、JM氏のピアニカ。
 エミさん「皆さん!コンサートではよく、携帯電話を切って下さい・・・と言われますが、お切りになってますでしょうか?今日はぜひ!その電源を点けてですね、お母さんに電話して下さい。何故なら、今からわたくしが貴方のお母〜様へのメッセージを送ります。これが今行われている、三宅純さんとエレオノーラさんと、その他の人の(一同大爆笑)ライブですよ。と是非お母さんに話して下さい。
 春は例えば、少女の頃のお母さんが無心で作ったレンゲの花輪。春には無心になって全ての感情をレンゲのように編んで花輪にして下さい。お母さん聞いてるの? 文句があるんだったら、明日私を産んで見ろよ!悔しかったらあたしをもう一度産んでみな!」

 さすがはエミさん、ドスが効いています。

 4曲目(新曲)。これは、先日からOAされている“あるCM”の為に作った曲ですが、「会話をメロディーだと考えたい」というこちらサイドとしては理解不能な理由により、メロディーをそぎ取られたという可哀想な曲だったので、今回正しい形で復活させております。
 (間奏語り)「あまり笑い過ぎると涙が出てくるし、あまり泣き過ぎると可笑しくなって笑ってしまう。怒っていると最後には悲しくなって眠る。そうやって春になると、喜怒哀楽という4つの感情がひとつのリングになる。これを古代の人はSPリングと名付けただけのこと。このことは、皆さんが本気で願わなければ、やってこないということ。ぜひ!あなたのお母さんに宜しくお伝え下さい」
 2番はJM氏ラッパ(ミュート)+ピアニカ。

 エミさん「ありがとうございます。あの・・・私が言っていることは意味がないので、あまり気にしないように。でも・・・心に残ったら光栄です。では皆さん大声で次の呪文を唱えてください。意味なーい!」
 観客(爆笑)
 エミさん「大きな声で!意味なーい! しかも今日はフランスの方もいらっしゃっているということなので、意味なーい!(“な”と“い”の間をフランスのR風にガラガラとうがいするように言う)」
 観客(大爆笑)「意味なーい!」

 5曲目。JM氏ピアノ。エミさんアコーディオン。ウフフ。次の曲も皆さんの知っている曲です。
「CRIME PASSIONEL」
 ヒント1:『星ノ玉ノ緒
 ヒント2:フランス語の唄
 ヒント3:スブリーム
 はーいご名答!「CRIME PASSIONEL」でした。
 エミさん語で張り上げ気味に唄うと、まるでイタリアの泣き女のように聞こえる。デビット・リンチ監督の『マルホランドドライブ』で出てくるあの泣き女よりもう少し鼻っ柱の強い泣き女です。
 スブリームのあの唄は人生に一度しか起こり得ないような大きな悲しみを唄っていたとすると、エミさんの唄は、数百数千の悲しみを経験してきた人の良い意味でささくれ立った痛みを感じました。
 JM氏の丸くて太いフリューゲル。コードがある中で聴くと、より存在感が下腹に来ます。ああ〜悲しい、なんて悲しんでしょう・・・。
 エミさんピアノ、JM氏ローズ。
 エミさん「ああ〜気持ちいい!」
と“ひとっ風呂”浴びちゃったようなコメント。
 ラスト6曲目は横山さんのベースから始まり、JM氏のピアニカ。この可愛らしい曲は・・・。
 ここで問題!
 ヒント1:『星ノ玉ノ緒
 ヒント2:デュエット
 ヒント3:かのさん
 正解!「CA FAIT LONGTEMPS」でございまーす!
 1番を歌い終えて、
 エミさん「皆さん、ありがとうございましたー。今日!結成したバンドでーす。一杯一杯でした。でも皆さんの来年の幸福にお役に立てればと、サンタさんの気持ちでやってみました。春が来ない冬はない! 今日は窪田晴男君の“ハル”をテーマにやってみました。ベース、横山英規! ほとんど全部、三宅純、エレオノーラ、そしてオーガナイザーは窪田晴男! ありがとう!」
 会場からはアンコールの声が!でも時間切れの為また来年。
「CA FAIT LONGTEMPS」
 来年はエミさんとのライブがたくさん聴けるかな? いつものJM氏のバンドにエミさんが入ったところも聴きたいな。
とにかく、今年最後のライブで、来年からぐんぐん育ちそうな新芽を見つけたようで、とっても楽しい夜でした。

CoCa


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