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「イノセント・ボッサ 日本編 その3)〜Japaneseミュージシャンは素晴らしい!」 |
Text&Photo : CoCa
(構成:Kiev) |
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≪その2)
●Japaneseミュージシャンは素晴らしい!
8月10日、今日は日本勢の録音日でーす。再びコンシピオスタジオにやって来ました。
★1番目は大路さん
曲は「Lista De Praias」でございます。
バスクラをサラッとエロティックに決めた後、ポコポコ(Wood Blockのこと)に入ります。
そろそろ気持ち良くなってきたのか、大路さんの体に変化が現れました。腰が浮き上がり、口を開き、顎を上げちゃって、イッちゃってます。ほほほ・・いつもの感じ!JM氏里帰りの笑顔!
今日は、ヴォーカル録りをすることになっているアート。歌詞もまだ書けてないし、ちょっぴりナーバスになっているから、大路さんの顔ワザまで見てる余裕がない様です(ダメジャ〜ン!などと言えるはずもなし・・・)。
おっ・・・なんてことを言ってると、コントロールルームにトモさんが参上!
(Photo[1])
その独特なファッション・センスに、私とS嬢に“あの人誰?何?”とでも訊きた気な視線を送って来るアート(まだ教えてあげないよーだ!)。
あっ!今度はコンシピオ・レコードの浜崎さんが、『永遠乃掌』の再リリース盤のサンプルを10枚程持って来て下さいました。思わずスリスリするJM氏(浜崎さんに?
いえ、CDによ)。1枚はアートに、1枚はエンジニアの鎌田さんに進呈しました。
★トモさん録り始めます
曲は「Titia Inocencia」。
一斗缶をスタンドにセットして叩いておりますが、このジャバジャバした音は何? ほほー、なるほど・・・一斗缶の側面に釘を差し込んで、ピアスのようにプラプラさせています。それをブラシで擦ってるから、ジャバジャバいってるんですね。
ここで、トモさんにJM氏からリクエストが。
「今回は、ブラジルの巨匠がクリックよりかなり遅れて弾いてくれてるのねー。ちょっと大変なんだけど、ゆったり、遅れめでいってくれる?」
トモさん混乱!そうでしょうとも!JM氏も一晩悩んだくらいですから・・・。
あっ!スターバックスに買い出しに行っていたJM氏のアシスタント功刀君が帰ってきました。
アートの嬉しそうな顔ったらもうー! でっかい歯で、アーモンド・チョコを囓りながら、大きい鼻でコーヒーの匂いを思いっきり吸い込むと、目を閉じて夢心地の顔。そして一番大きいカップのコーヒーをソソーッと啜る。ん〜旨そーだねー。でもまた難しい顔に戻る。「歌詞制作中!危険、近寄るな!」って感じ。
その間も、JM氏はテキパキと指示を出します。
「大路君、次、アルトフルートね。えっと、大きな流れで、アブストラクト感を残してお願いしまーす。それからトモ君、パンデーロに似た音、今日持ってる?」
トモさん 「いや〜、今日は持って来てないですね〜」
ということで、トモさんはタンバリンの上に板を乗せて演奏することになりました。
JM氏 「大路君、フレーズの最初のアイディアがすごくいいから、そこを活かしたいね。そこをループさせちゃうのもアリなんだけど、フレーズにこだわって、もう一回吹いてみてくれる?」
すると、さすがは大路さん、カッコいーのをガツンガツン決めてきます。・・・が、時間が押しているので余韻に浸る暇なし!どんどん行っちゃいます。「Tres」ではシンバルの後、今度はトモさんと向き合ってハイハットをブラシで更にダビング。いっそがし〜!
(Photo[2])
おーっと! トモさんの腰がいい感じにスウィングを始めました。が、2人で息を合わせつつ、クリックよりちょっとだけ遅れて叩くのは至難の業だった様です。
★お次はアートの唄録り
初めは「Gaiato」から。
もーアートったら、全然メロディー覚えてないんですけど・・・。でも、超気持ち良さそうに唄ってるー。
「Tres」は自分の書いた歌詞が読めない様です。これは数字が絡まった唄だから余計なんだわね(映画「π (パイ)」を思い出します)。
2曲を自分勝手に、気持ち良さそうに唄ったアート。唄った後はリラックスタイム!何とアートは、S嬢が持ってきたプチセブンを熟読しておりました。
★等さんがいらっしゃいました
かつて私の眼にJM氏が何故かモーツァルトに見えたのは、後にも先にもあの時だけですが(「Intro」参照)、等さんは会う度に「あっ!ベートーベンだ」って思ってしまいます。
「Tres」のベースラインの我慢加減を聴いていると、『常夏乃憂ヒ
LIVE at CAY '95』の「Pedal」を思い出してしまった。等さんの“あの最初から最後まで我慢!”の演奏は、観客をトランス状態にナビゲートしてくれましたわ。
「Trejeitos」は6弦のエレキベースで。コントロールルームでPro Toolsに直接入れ込んじゃうから、ミキサーのイスに座って弾きます。
(Photo[3])
等さんは、譜面には書かれてないけど、JM氏のデモテープに入ってるスピリット(?)を瞬時に見抜いて、サラッと弾いちゃう凄い人です。アートのナーバス虫もニコニコでした。
次は「Lista De Praias」。楽器はチェロ。
「巧い人はファーストテイクが一番良い」というのがJM氏の口癖。このパートはなまりに合わせることもないので、初めからリハーサル無し!
ファーストテイクのピュアな“なんちゃって感”を逃さないため、早速録っていきます。
(ファーストテイク録音後)
JM氏 「最初のピッチカートはすごくいいです。その後はもう少し大きなメロディーで弾いてみてもらえますか?
後半で演ってたこともすごく好きでしたけど、ちょっとバスクラとぶつかっちゃう所があるよね。あとは、全体にゆったり、たおやかな人でいて下さい」
(2回目で超OK!)
JM氏 「以上です!」と恍惚の表情を浮かべる。が・・・、
等さん 「あの・・・最初の所、F-ディミニッシュをBで弾いてるんですけど、大丈夫ですかね?」
「うん、大丈夫でした。でも、もう一回聴いてみましょうね」
不安を解消すべく一度聴いてみる。演奏者が心配な事をその場ですぐに対処してくれるのは、JM氏のミュージシャンに対する愛ですね。
「大丈夫みたいですね。どうもありがとうございました」
何と素早く、且つ美しい仕上がり! 聴き直しを含めても、たったの3回でOKとは・・・。等さんのおかげで、押していた時間を取り戻すことが出来たのだった。
★痛かった伊丹さん
(註:8月10日はスケジュールが満杯だったので、録音は日本での録音最終日9/10に行われました)
伊丹さんは、金髪をホワンホワンと揺らしてやって来た。ヴィニシウスのなまりやコードを「へえ〜、面白いね〜」と言いながら、早速ブースに入る。そしていつも通り自主練習!
今日は何だかコワい顔をしていて、話しかけづらいピリピリとした雰囲気・・・何故?
それはね、ヴィニシウスが「弾けなーい」ってことになった「Creamy Thighs」をお願いしてるから。JM氏がこの曲を作った時、頭の中で鳴ったままのフレーズを書いてるから、「これ、どうやって弾くワケ?」って所もあったりするらしい。JM氏もさすがに「これはヤバイの書いちまった!」と思ったのか、前もって伊丹さんにデモテープと譜面を渡し、研究しておいてもらうお願いをしていたのでした。
本番が始まると、JM氏は「ちゃんと人間が弾けた」って事に胸を撫で下ろすと共に、
「お〜、すごいね。指痛そう〜。すみません、こんなの書いちゃって」
と少し反省気味。しかし、次の瞬間にはもう、
「ブラジルらしい余裕な感じも欲しいなあ〜」とか、
「もうちょっとだけ、粒立ち感があると気持ち良いですね〜」
と、本来の味(?)を取り戻す。
宿題作戦が大成功を収め、「Creamy Thighs」は無事OK!
ということで、次はロックな人になってもらい、「Gaiato」を録音しま〜す。これは、ちょっとアートのギターみたいな音にして、エッジのある感じで弾いてもらいました。
最後の「Trejeitos」は、ヴィニシウスにカッティングのトラックを2つ弾いてもらおうと思ってたら時間切れになってしまったので、伊丹さん助けてーっていう内容でした。でも、やっぱグルーヴを合わせるのはちょっと大変そう。
(Photo[4])
これにて日本勢によるオーバーダブは全て終了! 皆さん、おっつかれさまでしたー!
●良い知らせ〜Zeno君
「その1」で読んで頂いた様に、ポルトガル語を話すボーイソプラノの子なんて、ただでさえ見つけるのが難しいのに、ブラジルにもNYにも行かないで探そうなんてぜ〜ったい無理!と思っていた。皆さんもそう思ってたよね?そうでしょ?
でも、何と奇跡の少年は日本にいたの!
それは8月に入ったばかりのある日のこと。JM氏が何の気なしに、あるCM音楽プロダクションのプロデューサーTさんにこのCDについて話した事から始まる。
JM氏 「今僕、何故かボサノバのCD作ってるんですよ。それで、ポルトガル語が唄えるボーイソプラノの子を探してるんですけど・・・ご存じないですよね」
Tプロデューサー 「そんな子がいるって訊いたことがありますよ」
「ほっほっほんとですか?会ってみたいです!その子は今どこに?どんな声ですか?」
「ちょっと今から連絡取ってみます。もし資料があったら届けてもらいますね」
数日後、ビデオが届きました。確かにいい感じだけど、唄っているのは日本語。
JM氏 「ポルトガル語は、どのくらいネイティブなんですか?」
Tプロデューサー 「えっと、お父さんが日本人で、お母さんがポルトガル人なんですよ。それで、学校で合唱をやっているらしいです」
「すぐにでも会いたいんですけど、どこに住んでるんですか?」
「東京です。でも今、バカンス中でブラジルに行ってるっていうんですよ」
「そうですか・・・。帰ってきたら声変わりしちゃってたなんてこと、ないですよね?」
「・・・・・・」
「大丈夫です。唄ってもらえるんなら、何だって構いません」
ということで、無事ボーイソプラノの子は見つかったけど、1ヶ月お預けです。
★その後もいろいろ
アートはエンジニアの鎌田さんの自宅スタジオに来てくれて、ループする所を決めたり、ボーイソプラノの曲の仮唄を唄ったりしてくれた。
唄う時はナーバスになってコワイけど、チョコチップクッキーとスターバックスのコーヒーと煙草があれば、また愛すべきアートに戻ってくれる。
ところで、人にはそれぞれオーラみたいなのがあるっていうけど、アートをボーッと見ていると、ブラジルの景色や音が透けて見える気がする。でもそれはブラジルそのものじゃなくて、古いメガネで覗いている様な景色だし、音も裏路地で聞くカーニバルの音みたい。アートが2つのふるさとを持つ人だからなのかな?
・・・そんなこんなで、アートも帰っていきました。お疲れ様〜。
★こぼれ話〜スタジオの名前
そういえば、こんなことがありました。
自宅スタジオを作ったエンジニアの鎌田さんが、ある日アートに、
「アート、僕のスタジオに何か名前を付けてくれないかな?」とお願いしたのね。
少し考えたアートは、超真面目にこう言った。
「xxx 〜 or 〜 xxx ・・・。えー、それって日本語では何て言うのかな?」
それを聞くなり、突然笑い転げるJM氏とS嬢。
「え?なになに? 何て言ったの?」と訳が分からない私。
S嬢が笑いを堪えながらも教えてくれたのは、
「“トンボ落ちる”っていう名前か、“キツネっぽい”っていう名前だって(笑)」
アートも日本語で言ってみる。
「とんぼ・・・お、ちる、すたじお・・・けつね?きつねっぽいすたじお!
Nice name?Ha?」と満足気。
私たち大笑い。鎌田さんだけちょっと悲しそう。
意地悪な私たちは、シミュレーションを始める。
「はい、もしもし! とんぼ落ちるスタジオでございます!」
「はい、もしもし! キツネっぽいスタジオでございます!」
どっちもすごくいいね〜(大爆笑)。かなり意地悪! 鎌田さんごめんなさい。
後日、鎌田さんのスタジオの名前は最終的に「Foxy Room」に決まりました。メデタシ!(註:このアルバム制作時にはまだ「Foxy
Studio」と呼ばれていました)
★Zeno君の歌声
夏休みが終わって帰って来たZeno君、くつろぐ間もなくJM氏のお呼びが掛かりました。
9月10日、コンシピオスタジオにやって来たZeno君はちょっと緊張気味。
まずはJM氏がピアノを弾き、唄の調子を見る。とっても細くてキレイな声!ホントに天使みたい。吸い込まれてしまいそうだわ。でもまだ緊張してるかな?
(Photo[5])
そこで、私が唄のブースに入り、学校の事や、この唄の意味の事についての話をしながら録りました。
・・・と言うのは言い訳で、私はそのピュアな美しさに少しでも近づきたかっただけなのかも。Zeno君が唄っているのを間近に聴きながら、大人と子供の分かれ目について柄にもなく考えながら、遠くを見てしまったわ・・・。
これを持ちまして、楽しいのはちょっとお預け。
JM氏には、NY録音に向けての準備と、ジャケットの事など、大人っぽい?仕事が待っていた。
がんばれJM氏!勝って笑いましょう!(誰に?)
●日本編終了のご報告
こうして皆さんの協力を得て、無事(?)NYでMIX&取り残し録音が出来る様になったJM氏は、9/22に旅立つことになりました。
しかし、これがまたものすごいトラブル満載で、もう・・・大変だったのよ。
そちらは、次回からの「イノセント・ボッサ NY編」でお楽しみ下さい。
ではまた! |
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