きえふのながいものにはまかれるな

disc review

'04年5月購入

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T.2』(ビクター:VICL-61232) 購入:5/25 NEW

 『2』の文字はあるものの『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズのサントラとしては3枚目。1stシーズン後半及び2nd GIG前半の曲を収録。全17曲中8曲が作詞クレジットのあるヴォーカル曲。vo陣はGabriela Robin、オリガ、Ilaria Graziano(2曲)、Scott Matthew、Emily Curtis、Steve Conte、加えて「GET9」のみのスペシャルユニットと思われるjillmax。Shanti SnyderがSteve曲でリーディングで参加。
 ミュージシャンクレジットについて、今堀恒雄(g、一部b)、渡辺等(b)、佐野康夫(ds)の3人、プラス浦田恵司/坂元俊介(syn)、篠崎正嗣ストリングスあたりはいつもの通り。パーカッションの三沢またろうは『S.A.C.』OST1以来の参加。今回は以上の比較的オーソドックスな編成でほとんどの曲を手掛けている。その他は原朋直(tp)、本田雅人(sax)が数曲で参加。弦一徹グループも弦カルで参加しているとのことだが、M-12だけかも。
 元々バンドサウンド色が濃かった同作シリーズサントラだが、今回はオケ物がないため一段とバンド中心の仕上がりになっている。私としては歓迎すべき方向性。キレの鋭い佐野さんのドラムとまたろうさんの乾いたパーカスが繰り出すソリッドなリズムが心地良い。全体を通して佐野さんのドラムが目立っていることもあり、今堀さんの『GUNGRAVE』サントラ(特に"lefthead"の方)とテイストが近いものがあると思ったのは私だけかな(あ、"lefthead"まだレビュー書いてねーや)。また菅野作品には様々な凄腕パーカッショニストが入れ替わり参加するが、その人選で作品の性格がガラリと変わることが多いような気がする。とすると今回のキモはまたろうさんと言えるかも。
 M-1の「サイバーバード」でいきなりGabriela Robinキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! ブルガリアンな地声系だったり舌足らずなロリ声だったりと毎回微妙に声質が変わるGabriela Robin(笑)、この曲はちょっとピッチ不安定めなファルセット。毎度オーバーダブによる神々しい雰囲気は健在だが、それがここまでドライヴ感のある8ビートで展開されてるのは意外。voがビートとほんの少しズレているというか、わざとクオンタイズさせてないというか、タイトなリズムに対してvoがやけにゆったりとしてるのがむしろ良いですなぁ。いきなり今回のハイライトかも。vo曲ではIlariaのM-5が秀逸。緩急が激しくて何となくプログレチック。M-16同様、作詞もIlariaによるイタリア語詞というのが良い感じ。昔イタリアン・ロックにハマッていた身には何か妙に懐かしい響きがある(笑)。何でサビのワンフレーズだけ英語なのか分からんけど。Ilariaのvoはオリガ辺りと比べるとちょっと個性に乏しいようにも思えるが、こういう作品の中では自分が主役じゃないからむしろいいのかも。M-10でのScottのvoはナゴむねぇ。でもこの曲、わざと不響和音ぶつけてたり妙なコード使ってない?(^^;
 でインスト。M-3はまるで4つ打ちの「RUSH」(ビバップOST1)みたいな超爽快な曲。このハイスピードフレーズをユニゾンで難なく吹きこなす原さんと本田さんのテクが光る。本田さんのサックスはジャジーなM-6でもいい仕事してます。さてM-4は意外と問題。深い霧の中から聴こえてくるようなミュート・トランペットに強烈な打ち込みダンスビート・・・これ、モロにニルス・ペッター・モルヴェルなのよね(^^;。カッコいいんだけどさすがに笑いました。M-9は菅野さん自身のカズー多重録音で「葬送行進曲」みたいなメロディ。シリアスなんだかマヌケなんだか分からんのがすごく菅野さんらしい1曲。M-13は約1分半と短いが、今堀+渡辺+佐野+三沢の4人によるキメバリバリの難曲。
狼雨OST2でも演ってた菅野さんお得意のインチキ・トラッドの類という感じか。打ち込みでは再現できないであろう生楽器独特の質感と演奏の緊張感がとにかく凄まじい。アコギはLRに振り分けられているがオーバーダブかな。このアコギがもうすんばらしいキレ味で今堀ファン必聴。


'04年4月購入

る*しろう/8・8』(TUTINOKO:TUTI-0007) 購入:4/8 NEW

『る*しろう/8・8』  井筒好治(g)、菅沼道昭(ds)の両名が組んでいたエレガントパンクというバンド(ワーナーからアルバムを2枚リリース)に金澤美也子(pf)が加わった都withエレガントパンクがこのバンドの母体なんだそうで。菅沼さんの名前はドラムマガジン誌でプログレ系の変態ドラム分析/解説やアルバムレビューをしてたりパラドックスというフュージョンに参加してる人ということで名前だけは知ってた程度。金澤さんのことも高円寺百景にkey&voで参加したということでしか知らなかった。高円寺百景での暴れっぷりについてかるめさんから聞いたりはしてたので(笑)、当然注目はしてたけど。
 プロデュース/エンジニアリングは吉田達也。マスタリングも吉田氏だが、KENSO仕事でおなじみの福島浩和氏がリマスタリングしている(CD化のための最終調整ということか)。練習用スタジオに機材を持ち込んでのほぼ一発録り(録音からミックスまで全部Digital Performerを使用)、録音時間は実質4時間程度とのことだが、音質的な不満は全く感じられない。
 レコメン系とかザッパとかいう形容は浮かぶ。これで管楽器とか入ってたらよりそういう印象が強くなったと思うけど、ピアノ、ギター、ドラムというゲスト無しのトリオ編成で全曲演っているのが潔い。「低音が好きなんです!」(ユーロ・ロック・プレスVol.20より)と言い切る金澤さんのピアノのメカニカルなフレーズが耳に残る。ベースレスの不満は皆無。これでシンセを導入したらバリバリのプログレになりそうだが、あえてピアノ音色に限定してこそのオリジナリティのような気もする(シンセ入りも聴いてみたいが)。変拍子/奇数割りだらけのリズムなのにキレ味抜群の菅沼さんのドラム。やっぱりテリー・ボジオ辺りの雰囲気がにじみ出てるのかな。菅沼さん作曲のM-6「ヌマザパ」は正にタイトル通りの曲で、さながら「る*しろう版ブラック・ペイジ#1」といったところ。個人的には、井筒さんのギターがアレンジのキモかもしれないと思った。音色/フレージング共に全体的なアンサンブルが考え抜かれている。これまでのキャリアが充分活きているというか、すごくオトナな感じ。だからこそ金澤さんのぶっ飛んだ個性も光ってくるんじゃないかな。当初はメインで作曲している金澤さん中心なのかなとも思ってたが、実際聴いてみると3人がすごくいいバランスの中に成り立っている。
 私としてはvo曲が2曲のみ(他に一部金澤さんが奇声を上げてる曲もあるけど)なのはちょっと寂しい。もっと歌って欲しいなーと思う反面(あれが歌なのかどうかは置いとくとして(^^;)、る*しろうの音楽性を考えればこのくらいでいいのかもしれない。金澤さんのvoがもっと聴きたいということなら、新生高円寺百景を聴けということかもね。こちらも新譜切望。

ホッピー神山+ビル・ラズウェル/A Navel City/No One is There』(CREAGE:YMCC-2001) 購入:4/6 NEW

『ホッピー神山+ビル・ラズウェル/A Navel City/No One is There』  名義こそこの2名だが実際は仙波清彦師匠を加えてのトリオという、意外な様でそうでもない様な何ともスゴイメンツでのこの作品。去年の12月に3人でスタジオ(ゴドマ系ではおなじみGOK SOUND、エンジニアはもちろん近藤祥昭氏)入りし数時間セッションした音源を編集して7曲に仕上げたものらしい。エディットはホッピーさんとmad sheepなる人物(この人らしい。12/17の日記にこのアルバムの編集をやった話が掲載)。ミックスはラズウェル主導。でも実際に音を聴いてみるとドラム(クレジットはdrums、per、electric drum)で参加の仙波師匠がイニシアティブを取っているのではないだろうか。
 ホッピーさんはたまにピアノを弾いてるけど基本的には終始怪しいエレクトロニクス、ラズウェルはアタック感のないボヨボヨ〜ンというベース、と2人してアンビエントな世界を作る中にやおら切り込んでくる師匠のドラム。いつものポコポコというパーカッションではなく普通のドラムキットがメインというのは珍しいかも。上物群はドラムに反応して地味〜に展開・・・してるんだが、それぞれの音が絡んでるようで勝手に演ってるようで(^^;。最初は比較的分かりやすいパターンから入るドラムが一人ポリリズムしてどんどんおかしな符割りになってきたりする辺り、やっぱり師匠らしいですなぁ。この絶品ドラミングだけ聴いてても気持ちイイ。というか、師匠のドラムが入らないとハッキリ言って眠いです(^^;。そんな訳で、仙波ファンの贔屓目もあるにしろ、3人の連名名義にした方が良かったんじゃないのかなーというのが私の意見。師匠の公式サイトでこのアルバムに全く触れられてないのも謎(^^;。でも出来はかなり良いです。


'04年3月購入

魁!!クロマティ高校 オリジナルサウンドトラック』(キング:LACA-5265) 購入:3/23

『魁!!クロマティ高校 オリジナルサウンドトラック』  サントラとはいえ、美狂乱としては'02年の『Anthology vol.1』以来の作品と言っていいだろう。前作は佐藤正治(ds)とのコラボ的作品だったが、本作ではドラムに長沢正昭が復帰。ベースは三枝寿雅と桜井カントク(笑)。須磨さんの息子、和声さんが前作に引き続きバイオリンで参加している。ミックスはこれも前作以来の赤川新一。
 全25曲で52分強、短い曲が多いのは確かにサントラならでは。もっと曲を長くしてじっくり聴きたいというのはあるが、良い意味でバリエーション豊かにまとめられているのではないだろうか。音を聴いた限りではBGM的な曲は少なく、どこを切り取っても美狂乱という濃ゆい世界が繰り広げられている。このシリアスさはこうして音だけ聴けばひたすらカッコいいんだけど、アニメの中で使われると劇的過ぎて笑っちゃうんだよなー(笑)。
 和声さんのバイオリンがとにかくいい音を出しているのが高ポイント。デヴィッド・クロスなどとは比較にならないほど(失礼)巧い。金子飛鳥に近いような繊細且つ伸びのあるプレイと艶やかな音色。さすがは現役音大生。また久々の復帰となった長沢さんの躍動感溢れるドラミングも聴き物。長沢さんって一体いくつなんだろうか(笑)。年齢を感じさせないパワフルなプレイである。
 EDテーマとして先にシングルカットされていた「トラスト・ミー」はパート1〜3に分かれて収録。TVでは3バージョンがローテーションで流れてたから、ようするにこちらはTVサイズバージョンという訳ですな。ほとんど別の曲みたい(笑)。
 ところで、実は前作では気に入らない部分が多少あった。決して巧いとは言えない須磨さんのvo、また打ち込みのマリンバやブラス系の音が気迫に満ちた演奏に合ってない感じが否めなかったのだ。マリンバは今回もあまり変わってないが(^^;、voはM-13「トラスト・ミー part2」でちょっと出てくるだけ、しかもファズで歪みまくりなので違和感がないどころか、こういうのだったらもっと聴きたいくらい。M-4やM-7ではメロトロンも登場。クレジットは載ってないけど弾いてるのは多分須磨さんだろうな。解説の久野さんによればホンモノだそうだ。結構コンディション良さ気なイイ音出てます。

MICK KARN/More Better Different』(Invisible Hands Music:IHCD 33) 購入:3/20

『MICK KARN/More Better Different』  ソロとしては6枚目。前作からゲストの参加も少なくなってバンド形態じゃなくなってたが、今回は一切ゲスト無し、ベースはもちろんギター、クラリネット、キーボード、打ち込みなど全て自分一人での演奏。バックトラックだけ聴いてると前作ほどダーク/アンビエント系は少なく、ライトでファンキーなノリのリズムの曲が多い。雰囲気的にCMP時代を感じさせるものも多少あるが、リズムが軽いだけにあんまカッコよろしくない(^^;。もちろん生ドラムと絡んでくれた方がいいなーというのもあるし、ミック自身で打ち込みをやるにあたっての限界というか、然るべきマニピュレータと一緒にやった方がいいんじゃないのかという気がする。まーこの人の場合、曲がどうこうとかいうよりあのベースを弾いてナンボなんで(笑)、前作以上に弾いてくれてるのだけは良かった。相変わらずこの人以外あり得ないほどのもの凄い存在感。ベースが入るのと入らないのとではエライ違いがある。あり過ぎて困る(笑)。
 個人的にミックのソロ最高作はジャンセン/バルビエリの元JAPAN勢+デヴィッド・トーンとの『ベスチャル・クラスター』('93)だと思ってる。アヴァンギャルドでありながら絶対消えないニューウェーブ臭さにジャズの緊張感、生演奏とエレクトロニクスの絶妙なバランス、そして何よりこの個性の強いメンバーでしか出てこない独特の音楽性。私にとっては衝撃の1枚であり、未だにその魅力は薄れていない。だからまたJBKの3人でやって欲しい。切望。


'04年2月購入

Yae/flowing to the sky』(ポニー キャニオン:PCCA-01976) 購入:2/17

『Yae/flowing to the sky』  加藤登紀子の娘さんであることは既に言うまでもない(?)Yaeの“ファンタジー”をコンセプトにした企画アルバム。プロデュースは鬼怒無月
 参加メンバーとしてはやはり鬼怒さん周辺がメイン。大坪寛彦(b)、岡部洋一(per)、高良久美子(marimba、per)、芳垣安洋(ds、per)、福岡ユタカ(prog、voice)、瀬木貴将(zampona)などなど。M-4では勝井祐二(vln)も加わりボンデージ・フルーツ全員が参加。アレンジはほぼ鬼怒さんだが、「みんなのうた」OA曲であるM-2はハウゴー&ホイロップ(デンマークのギターとフィドルのデュオとのこと)の演奏/アレンジ。ボーナストラックの2曲、M-8では福岡さん、M-9では高良さん&とWarehouse名義。
 基本的にはアコースティック楽器をフィーチャーしたトラッド色の濃い作風。アレンジャー/プロデューサーとしての鬼怒さんの幅広い引き出しを感じさせる。M-1のアコーディオン&ピアノの使い方が秀逸。
 個人的にはボンフルとして演奏に参加しているM-4が一番目当てで買った訳だが、アルバム通してみてもやはり相当に異色(笑)。ブルガリアのウェディングソングらしいが、9/8拍子にエレクトリック・バイオリンが唸り、どこがハッピーなんじゃというダークな1曲で、明らかに世界観はいつものボンフル(笑)。中間部ではギターとマリンバのユニゾンやバイオリンソロもあり。Yaeも他の曲とはちょっと声の出し方が違う感じで、ヘヴィな演奏に負けじと一段とドスを効かせているのがよろし。それでもスタジオ録音らしい端正さが伺えるが、ライヴではもっと弾けるのだろうか。他に“この界隈”的に面白い曲としてはM-6。歌詞はなくYaeのスキャットをフィーチャーした曲で、鬼怒/大坪/岡部の3人に加え福岡さんがvoiceで参加。途中2:30過ぎからの約1分間に福岡さんのオタケビが登場(その間Yaeは出てこない)、そこだけほとんどYen Calling状態になってしまうのが可笑しい。こういう脈絡のないアレンジってプログレ的じゃない?(笑)。福岡さんはM-8で打ち込み/コーラス/アレンジ、シンセの音色はソロでやってる時とほぼ同じかも。この曲のみバイオリンで太田惠資が参加(あんまり目立たないけど)。
 Yaeの声質は地声がしっかりしておりかなり大人っぽい。個人的な好みとはちょっと違うが、この声だけで独自の世界を作り出してしまうその存在感が素晴らしい。

デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン/構造と力』(P-VINE:PCD-18508) 購入:2/7

『DCPRG/構造と力』  リリースは去年の9月。元々ビッグバンドな編成はあまり好きじゃないし、1st『アイアンマウンテン報告』も思ったほど合わなかったので買うつもりはなかったが、上京時タワレコで試聴、M-1のイントロの栗原さんのベースリフがめちゃめちゃカッコ良くて即購入を決めた(笑)。「踊れるポリリズム」というコンセプトが前作以上にストレートに現れている。ティポの「時代劇としての高速道路」をより強力にした感じというか。単に聴いててノレるし聴き込めばその情報量に圧倒される。
 管楽器隊が増えてメンバーが14人にもなったが、管楽器は出ずっぱりではなく要所要所に出てくるだけなので全体的に締まっている。うるさくなり過ぎるんじゃないかという心配も杞憂だった。ミックスは大変だったろうな(^^;。
 音としては新加入の管楽器隊より坪口さんのkeyが結構フィーチャーされてる。1曲菊地さんと共作してることもあり、リーダーは菊地さんながら参謀役として坪口さんの貢献度がより上がっているんではなかろうか。ライヴでの再現を考えると、菊地さんもかなりシンセを弾いてるんだろうな。
 でも菊地+坪口チームとしては東京ザヴィヌルバッハの方が好き(^^;。ニューアルバム待ってます。


'04年1月購入(カッコ内は購入日)

WOLF'S RAIN O.S.T.21/20

『WOLF'S RAIN O.S.T.2』  ジョイスを起用するなどブラジル録音を含むボッサ色の強い作風だった1枚目に続くサントラ2枚目。今作はシークレットトラックを含め全23曲中、東京録音が10曲、ワルシャワ録音が10曲、リオ録音が2曲、ローマ録音が1曲。ということでボッサ色はほぼ皆無。
 東京セッションのクレジットがなかなか興味深い。ドラムはいつもの佐野康夫ではなく外山明。ギターの今堀、ベースの渡辺コンビはいつもの通りだが、ギターは保刈久明が1曲、ベースはバカボン鈴木が2曲参加。等さんは“エスニック・ギター”でも1曲参加。パーカッションには岡部洋一(1曲)、佐藤正治(3曲)、高田みどり(1曲)、三沢またろう(1曲)という強者4人がズラリ。その他弦管関係はほぼいつもの面々。voはSteve Conte、Gabriela Robin、Ilaria Graziano、Franco Sansaloneが各1曲、坂本真綾が2曲(英詞/日本語詞各1)。Gabriela RobinはM-15でインディアン・フルートを披露(笑)。
 前作は未聴なので比較が出来ないが、今作は比較的いつもの菅野色がよく出ていると思う。強烈なのがM-5。佐藤正治のパーカス群乱打(一人オレカマみたい)に始まりアコベのリフが入ってきてどう展開するかと思いきやすぐ終わって、アコーディオンやアコギ、バイオリンが走り回る。この部分をヘッドホンでよく聴くと、センターにアコベが定位し、Rにはアコーディオンとおそらく等さんによる“エスニック・ギター”、Lにはバイオリンとおそらく今堀さんによるアコギが振られているというミックス(ビートルズ・ミックスとでもいうべきか)。パーカスも左右で鳴ってる音が違う。ケルトっぽくも思うがもっと内容が濃く、私の知識ではインチキトラッドだなーと言うしかない(笑)。サントラという性格上3分足らずでしかなく非常に惜しい。このメンバーで本気のセッションやってくれたらいいのに。M-9もパーカスが強烈な曲だが、こちらは高田みどり。激しいストリングスとの絡みが生み出す疾走感に心躍るがこれも時間が短い。正治さんはM-11、12の2曲でもパーカスを叩いているが、こちらはあまり個性が出てないかも。M-11なんかはリバーブを効かせたギターとプログレっぽくブ厚いシンセの壁、サントラ中一番ロック色が強くてカッコいい。
 M-6はリオ録音ということで前作未収録分かな。全体的に南米らしく乾いた感じの音だけど、フルートにケルトっぽいソロフレーズを吹かせているのが面白い。マルコス・スザーノが地味に参加。
 真綾曲については英詞のM-18が良い。『23時』の「Kissing〜」ほどじゃないけどいつもより腹式呼吸してる発声(それでもまだ声細いけどね)。朝川さんのハープも非常に効果的。M-22も悪くないけど、アレンジが菅野さんにしてはちょっとやっつけ仕事っぽいような。等さんのベースは相変わらず唸ってますが。符割りが変で歌いにくい歌詞がミスチルみたいだし(^^;。ラスト近くでバックコーラス入れてる粕谷尚平って誰やねんとクレジットを見るとレコーディング・エンジニアとして名前が。謎。レコーディング・エンジニアといえば溝口さんもクレジットされてるけど、これはGabriela Robinのインディアン・フルート(M-15)を録ったんではないかと思われ。
 他のvo曲ではやはりGabriela RobinのM-3が秀逸。Gabriela Robinでこんなノリのいい曲って珍しいんじゃないかな。岡部さんらしい乾いたパーカス+打ち込みリズムとバカボン鈴木のベースのリズム隊のキレの良さがキモ。バカボンさんのベースは等さんのうねりとは違って、粒立ちの良い音が特徴。トニー・レヴィンっぽいような気がする。
 ところでいつも菅野作品のオケ物曲は飛ばして聴いてるが(笑)、今作はオケ物が非常に美しく響いていて珍しく飛ばさず聴けている。今作の出来が特にいいという訳ではなく私自身の心境の変化かもしれんが。そのせいもあってか全体的に良い出来なんではないかと思う。それだけに何度も書いてる通り1曲1曲の時間が短くて残念。

菅野よう子/GET91/20

『WOLF'S RAIN O.S.T.2』  『攻殻 2nd.GIG』OP曲の「GET9」はスペイシーなミクスチャー・ファンク。ホーンセクションをフィーチャーしてるのでシートベルツっぽくもある。というか多分いつものメンバーだと思われるのでほとんどシートベルツだろうが。特にベースは等さんと間違えようがない(笑)。ドラムは打ち込み。で、[naked]とクレジットされているバージョン違いのM-4は、ドラムが生に差し替えられている(佐野さんだと思うが)。その他は基本的に同テイクのミックス違いだと思うが、いろんな音をオミットしているらしくギターやベースがより前面に出ていたりしてかなり印象が違う。M-1の方がドンシャリで派手な音なのでTV向きではあるだろう。M-1のサビでホーンセクションとユニゾンで出てくるミョーンというシンセがすごく菅野さんっぽくていい味出してるので、M-4で聴こえないのはちょっと惜しい。
 M-2はオリガをvoにした『1st.GIG』OP曲「inner universe」の続編という感じ。ハードな打ち込みに美しいvoという世界観。「inner universe」ほどの高揚感はないけどね。生ドラムも入っているがこちらも佐野さんだろうか。
 M-3はGabriela Robinによるカヒミ・カリイばりのウィスパー・ヴォイスが官能的(笑)。[田所会長のひみつパーティー]と言われてもアニメを観てない身としては何のことか分かりませんが(^^;、知ってると笑えるのかしら。こういうシンプルなバックトラックにウィスパー・ヴォイスというと、曲調としては懐かしいところで「The Borderline」を思い出させる。

GUNGRAVE O.S.T.uno "righthead"1/6

『GUNGRAVE O.S.T.uno "righthead"』  '02年のゲーム版サントラに続いてこのアニメ版の音楽担当も今堀恒雄
 ミュージシャンクレジットは、dsには盟友・外山明と佐野康夫、bにはナスノミツル/坂井紅介/吉野弘志、perには大儀見元/ヤヒロトモヒロ、ピアノに鶴来正基、ストリングスに飛鳥ストリングス/弦一徹ストリングス、などなど。元ティポとしては他に松本治(tb)が2曲参加しているが菊地さんなどの名前は無し。その代わり(?)1曲のみ梅津和時(sax solo)が参加。M-2「clue」のvoはこれもゲーム版サントラに引き続きRaj Ramayya。今堀さんのこれまでの活動が充分反映された豪華な顔ぶれだが、それはそれとしてこの人選はかなり興味深い。菅野作品参加からの影響も大だし。
 それはレコーディングクレジットを見ても言えることで、今回のエンジニアは今まで今堀作品を手掛けてきた河上達也氏に替わり薮原正志氏。マスタリングもいつもの小泉由香氏(Orange)ではなく宮本茂男氏(FLAIR)。故にHDCD仕様ではない。まあスケジュールの関係かもしれないが。unbeltipoはどうだったんだろうか。
 いつものバッキバキ打ち込みサイバー系ではなく、ジャズや民族音楽的な要素が濃い音楽性。ロック色は薄め。パッと聴きだと打ち込みがあまり使用されてないようにも聴こえるが、M-1のビブラフォンやM-3のベースなどあえて打ち込みにして他のミュージシャンによる生のプレイと組み合わせ、グルーヴのズレを意図的に作り出してる(三宅さんもよくやる手ですね)。パーカッションも曲によっては結構エフェクティブで、打ち込みなのか卓で飛ばしてるのか分からないところもあったり。曲中何気なく入ってくるアヴァンギャルドなシンセ/SEが今堀さんっぽいなー。リズム隊は佐野+ナスノのロック系と外山+坂井/吉野のジャズ系を曲によって使い分けている。特にナスノさんの歪んだベースが凄い。
 またホーンセクションをフィーチャーしていたゲーム版サントラとは違い、今回フィーチャーされているのはストリングス。だがゆったりした演奏よりはスピード感のあるキレの良いプレイが多く、飛鳥ストリングス及び弦一徹ストリングスの個性がよく出ていると思う。加えて今堀さん自身によるギターや名前がよく分からない(^^;弦楽器での独奏及びデュオ曲が多いのも今作の特徴。これが意外に良くて今堀さんの引き出しもまだまだ多いなって感じ。M-18などは今堀さんのアコギと金子飛鳥のバイオリンによるセッションでおそらく同録したんではなかろうか。この曲だけモノラル録音、まるで古い映画のエンディングで流れているような雰囲気がうまく出ている。唯一のvo曲であるM-2「clue」はストリングスにアブストラクトなSEのみで、RIKKIのアルバム『蜜』の「巡る想い」で演ったような何とも唄いづらいアレンジですな(笑)。好きですこういうの。
 サントラはあくまでもお仕事なのは分かってるし正直言えばもっとハードな方が好みではある。一聴して比較的地味かとも思ったが、1曲1曲の特徴がよく出ていてアニメを観ていなくても充分楽しめる。菅野ファンにもお薦めしたい。いずれにしろunbeltipo早く聴きたいなー。

RAIN TREE CROW/RAIN TREE CROW』(1/2

『RAIN TREE CROW/RAIN TREE CROW』  同じくリマスター盤。'02年に出たデビシルのインストベスト『カンファー』にこのアルバムのM-1「BIG WHEELS IN SHANTY TOWN」が入っており、旧盤CDよりかなり音が良くなってて是非オリジナルの方もリマスター盤が欲しいと思ってたので、この再発はかなり嬉しい。
 これもミック・カーンのベースの話で何だが(ファンなんでスミマセン)、他作品と比べて地味なプレイが多いだけに目立たないなぁと思ってたんだけど、このリマスター盤を聴くとフレーズこそ地味なものの彼ならではのブリブリした音色がしっかり聞こえてくるではないか。他にも今まで聞こえなかった倍音を含む音が多数あり、アルバム全体の印象が違ってくるほどと言っても過言ではないかも。
 少なくともデビシル関連では未だに最高傑作と思っているこのアルバム。各々が個性の塊のようなこの4人でしかあり得ない唯一無二の音楽を聴かせてくれる、けだし名盤である。

JAPAN/TIN DRUM』(1/2

『JAPAN/TIN DRUM』  待望のリマスター盤。国内盤はCCCDのため多少値は張ってもEU盤CD-DAを購入(EU盤にもCCCDがあるので始末が悪い)。内容については今更この名盤に言うことはないので省略。
 私が今まで持っていた旧盤CDは'93年発売盤だが、リマスターの成果が顕著に出ている。ミック・カーンのベースのアタック感などは特に鋭くなっているし、ヘッドホンだと細かなリバーブまでしっかり聴き取れる(「GHOSTS」のイントロのシンセなどが分かりやすい)。
 写真集なども付いて装丁が豪華になったのは良いとして(個人的には要らないけど)、歌詞カードがないのはどうなんだろう?(^^;。私は別に歌詞の意味気にするタイプじゃないんでいいんだけどさ。


※ジャケット画像は全て管理人がCDを購入の上自らスキャンしたものです。画像掲載に問題がある場合は適宜対処致しますのでご連絡下さい。

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